山奥某所でソロ野営
2015年 10月
秋が深まりつつある頃、好天に誘われて出向いて来たのはかねてより行きつけの山奥の、然(さ)る野営地でした。
全く世間には知られずに、ごく一部の間にしか知れていないような、キャンパーにとってはいわゆる寂びきったような野営場所です。
私個人的には、こういう寂びていて侘しいだけの風情を持ち合わせる野営地は大好物・・・少し変人なのかもしれませんネ。
そのような寂びた場所というのは、大概いろいろな要素が削がれているもので、来たる者を一種のふるいで撥ねているようなところと感じます。
そんなワケでこうして年に二度も野営に来るくらいな自分というのは、よほどのモノ好き・・・ということになるワケですね。
自分のような野営愛好家には少なからずそんなモノ好きはいるでしょうが、さすがにこの場所にはそんな人の来訪はないようです・・・。
過去レポはこちら・・・1、2
さて、来る道すがらの状況としては風が強いです。
木々が大きく揺れているくらいの状況。
そして、さる街から離れて山のほうへ・・・
車道を分岐して登ってゆくと、目的の野営場。
(↑写真は登ってきた坂道)
荒れた未舗装路の急坂を華奢な軽車でなんとか上がる。
到底キャンプ場には見えないけれども、「キャンプ場」へ到着。
いつ来てもの通り、無人でひっそりした場内風景。
キャンプ場・・・?というより駐車場・・・に見える(笑)。
そして一種独特、なにか特有な雰囲気の場所なのだ・・・いかにもひと気の無いキャンプ場特有の味を感じます。
「キャンプ場」には何もないが、最低限の簡易トイレに山の小川からの引水と石製のテーブルのみ、という簡素極まりない場所だ。
そんなところがとても好い。
この石製テーブル、寒い季節には冷たくて長い時間座るのは敬遠してしまうが、夏場などはなかなか心地いですよ。
周囲は山。
空は快晴でスッキリ・・・。
さて、気になる強風ですが、都合よく周囲の地形の具合によって直接この場所へは吹き当らずにいて都合が良い。
風で幕体をあおられることもなく、スムーズに設置が済みました。
平坦に見えるが実は向こう側へ緩く傾斜している。
ペグはわりかしよく刺さる。
うまい具合にこの「キャンプ場」には直接風が当たらないため、安心してテントの周りでまったり過ごすことができる。
焚火はしない。
こんな風が吹いている日に焚火をすると、幕体に穴を作るだけだ。
相変わらずいい雰囲気。
こんなに良い天気なのに、人は誰も上ってこない。
10月中旬、周囲の紅葉は始まっていますがまだ浅いようです。
この、テントの入り口を向けているのが南側。
ここへ上がってきた方向が反対側の北側となります。
林を透いた夕日の見える方向が西側です。
夕刻近くになって一杯やり始めつつ、おでん鍋を仕込む。
幕内にはおでんのイイ匂いが流れる。
ここの名物は鹿威し。
安心してください・・・稼働しています(笑
夕日で雲が色付いてきました。
来た時より状況はさらに良くなり、風も静かになってます。
灯器に火入れ。
今日も快調に稼働します。
秋の夕暮れ・・・。
遠くに弱く風の音が鳴る。
日が暮れて夜の部・・・。
相変わらずイイ単独野営の状況。
洒落っ気も何にもない素っ気ない呑み情景・・・
燗酒&おでん。
う〜〜ん相変わらず地味な飲食だ・・・でもこれで充分です。
寂びたところでの侘びた野営に、オシャレで豪華な宴会料理は不釣り合いですから・・・。
燗は上燗・・・香って美味し。
程よく呑んで過ごして、眠気に逆らわず寝る準備。
頭上一面の星空を堪能してシュラフに潜ると、すぐに寝てしまいました。
夜明け前の暗い頃、また風が強くなっていました。
結構強い風でテントを時折揺らすが、それより周囲の風音が大きく鳴っていて緊張感が迫る。
明け方からそのままam8時ころまで幕内で過ごす。
相変わらずここへは誰も上がってこない。
頃合いで撤収とする。
風が強いこともあって幕体は結露しなかったか、または既に乾いたかの状態で撤収が楽だ。
撤収はすぐに終わったけれど、名残惜しくまだ発たない。
やはりとても寂びた感じであり、しかし何か侘びているような野営情緒を感じさせられる場所、それが好い。
最後の野営情景を味わって、この野営を締めるとする。
冬の雪がちらつく頃にまた来れると良いねぇ、と思いながら麓へ車を下げていった。
END
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