野営旅 その一
2016年 5月
気が付けば、今年もまた恒例のGW期間に突入したのでした・・・。
昨年来からこの半年ほどの期間は、週末は殆ど仕事がらみが元凶となって上手く休めない状況が続いており、そして季節も冬から春へと時が過ぎていました・・・
そして今に至るまで、これまでのような気が向いてフラリ・・・という、自由気ままな野営旅には出られないでいたのでした。
今回に限らず、この数年は同じような状態に陥っているように思います。
なんにせよ、Yaeibito(野営人)なんて言ってる者が、このように長い間の空白期間を置いてしまったことに恥じ入ってしまう、ということ。
さてそんな苦境もようやく脱し、半年間ぶりに野営道具を適宜見繕い車に詰めて出立・・・。
天気模様と距離を思い図って、まずは馴染みの野営場所へ向かう。
訪れたこの野営場所は、およそ広くは世間に知れず、ヒッソリして場所を覗きに来る訪問者も皆無の好条件であり、私のお好みな野営地の佇まいなのです。
通常のキャンパーにはおよそ無関係の場所と思うが、それでも価値観の違いでもって自分のような野営人を標榜する者には重要な場所なのです。
場内の一角にある奇麗な八重桜は満開のピークが過ぎており、風で大きな花びらがはらはらと散る様(さま)により、この野営場所へひとつの風情を感じさせている。
その桜の木の前、申し訳程度の簡素なカンバンにちゃんと「キャンプ場」と表記がされている。
獅子威し(ししおどし)も新しくなっている。
これは毎年新しくしているのだろうか?
コレの動きを見に来るのも楽しみ。
さて、例によってこの野営地には誰もおらず貸し切り、雰囲気は好適。
ただし今日は風が強く吹いている。
周囲の木々が強風で大きく揺すられてざわめいている。
強風に煽られつつ幕体を建てる。
コレはもう14〜15年ほど使い続けているテントです。
私が今のようなソロ野営者へと成るきっかけとなった幕体です。
いまだ現役で使っている道具ですが、もうさすがに経年のへたりを感じます。
使い続けると判りますが、この幕体はかなり良いです・・・特に寒い時期や天気が荒れた時の使い勝手が良いんです。
サクサクと幕体を建て、あらためて場内の雰囲気を味わう。
八重桜は風にあおられて可哀想ですが、花びらが散っている眺めがとても絶妙な情景です。
立派な御影石でつくられたテーブルとイスに落ち着く。
相変わらず風に吹かれているのですが、先のテーブルとイスに陣取り周囲を俯瞰していると、じんわりと今日の野営の風情がにじみ出てきます。
誰もいない野営場にポツンと独り、景色の変化と、詫びて寂びている情景を堪能している。
こういう、誰にも告げずそして人知れずに独り野営に浸っている情景が好きです。
水はこの場所のずっと上からの沢水ですが、今日は枯れておらずゴミも少ない。
トイレは駐車場奥にポツンとある仮設トイレで、当然快適ではないがドアは開いているようだ。
淡々と時刻は過ぎ夕刻を迎えた。
相変わらず風は強く、さらに風そのものが冷たい。
半月かひと月ほどバックしたような気温。
とっぷりと日が暮れた・・・。
既にテントに籠った。
小さな焚火を前に緩やかな夜を過ごしたいのですが、こうして風が強いとそうもいきません。
このテントに籠って過ごす時間も、なにか懐かしい・・・たかだか半年ぶりなだけなのにねぇ。
ホー、ホーと山のほうからフクロウの声が響く。
周囲は暗く人工的な雰囲気に気をとられることもなく、まさに山奥にいる情景です。
初心に戻ってブラックNIKKAクリアブレンドの安ウィスキーで程よく酔う。
今夜は、一向に収まらない風音とその風に揺すられるテントのなか、寝ることにする。
翌日は空が明るくなるまで一気に寝ていた・・・。
夜中に何度か目が覚めたり、夜明け前に目が覚めたりする日常と違って今日は余裕があってうれしい。
青空も広がって気持ちの軽い朝。
ただ、やはりいまだ風が強く吹いている。
テントの中でまどろみ、さてこの後はどうするかを考えています。
このまま連泊、後ろの山を山歩するのも悪くない・・・などと。
am9時を過ぎて日が高くなるにつれ、行く当てもまだ考えてもいないのだが撤収を終わらせ出立した。
風が強かったが、この野営地の雰囲気が依然変わっておらずイイ野営を〆られた。
この野営場所は自分にとっては最高の場所の一つです。
END
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