真冬の北東北・幕営旅
姫神山一本杉園地(岩手県)〜青森・大間〜相の沢キャンプ場(岩手県)
2008年 12月

    

2008年もあと残すところ4日足らずとなり、年末はもう大詰めだ。
今年一年の〆として、独り、ふらりと旅へ出て行きたい。

行き先は真冬の東北、北方面へ・・・。

この間までは暖冬か?と、暖かい日が続いていたのですが、この数日は大雪続きで非常に荒れた天気になっていますよ。
雪や路面凍結で各地で事故の起きる中、天気の荒れた北東北へ向かうなど・・・
そんなこと、普通は避けるべきでしょうねぇ・・・。

がしかし、困ったことに冬の休暇に入ったこの自分は、まるで夢遊病者のように荷物を見繕って車に詰め込んでは走らせてしまう。
残される家人もこんなのは既に慣れたもので、驚きもせずドライブ中の弁当を持たせて見送ってくれる。
イヤー、なんともありがたいものだ。



さて、今回の旅の目的は吹雪き舞う北の地をドライブすることである。

本州最北の地といえば・・・言わずもがな青森県は大間崎である。
冬の雪を伴う強風が吹き荒ぶ、荒涼な時期の大間の町まで行ってみたい・・・。



大雪続きの荒れた天気が続いていて、今日もこの通りの吹雪の道中ですよ。
年末、押し詰まっていることもあって車も多いんです。
しかも凍り気味の路面なこともあって、とにかくブレーキに神経を使う・・・。



<姫神山一本杉園地キャンプ場>
住所:岩手県盛岡市玉山区馬場前田(姫神山一本杉コース登山口前)  料金:無料


車が多いものの幸いに事故や渋滞、大きな混雑もなく盛岡まで上がってきた。
玉山まではもうすぐだ。



国道から分岐して一本杉園地へ向かうと、この通りの完全積雪路となり運転には一層の神経をつかう。
現地に到着し、いつもの場所から登る。



いつものお気に入りの一角、登山口の入り口まで登ってきました。
真冬の今は、御覧の通りの深い雪だ。



登山口入口から林道に分け入ってみる・・・
こっちのほうは更に深い雪の吹き溜まりとなっていて、結構すごい。

   

眺望がすばらしいはずのお気に入りの場所・・・
残念ながら今は、待望の南部富士・岩手山の壮大な眺望が吹雪のため全く望むことが出来ない。

そして結構な積雪状態。
雪質は軽く乾いた感じで、サラサラとした状況です。

そう言えば1月の時の状況を思い出してしまう(笑・・・あの時はツェルトで、雪に脇を押されながらも寝てたっけなぁ・・・。
ザックを背負いスノーシューを履いて深雪の上を散策、テン場を決めるのです。

吹雪いているので、林側に沿って風を避けるように場所を決めてみる。



深い雪なのでシェルタに付属の純正ペグでは役不足と判断。
少し大きめのアルミのVペグを用意してきて正解であった。



これはその大きな形状によって、乾いた雪質でもバッチリ効いてくれた。

  

天気も荒れていて吹雪なこともあって、姫神山への登山者の姿は場内にも駐車場にも見受けられない。
今、ここには自分独りしかいない。



夕暮れが迫る・・・

うーむ、吹雪いていて体の動きを止めると風に吹かれてとても寒い。
シェルタは一枚布、入り口を開けるれば容赦なく吹雪が入り込む。
そんなこともあって、幕体への出入りは極力しない。

今夜はその簡易シェルタ、雪の上に敷いたグランドシートがマイルームなのです。

今夜の寝所が出来たところで、温泉でマッタリしてこよう。
その温泉、「ユートランド姫神」の湯は大賑わいであった。
そこの駐車場からは姫神山が見えるはずだが、当然吹雪のいまは全く見えない。

露天風呂で風に吹かれながら、雪上のシェルタで過ごす一夜に期待が募った。
サイトに戻るともう日が暮れる頃合だ。



遠くにチラチラと明かりが煌めきはじめ、しばし見ながら外で一杯やる。
粉雪が風に乗って飛んできて、良い雰囲気だ。



夜景はすぐに吹雪に阻まれ、暗さも増した。
風の冷たさも増してきて・・・もうシェルタに篭ろう。

      

シェルタに入ると得も言われない暖かさ。
膨らませたインフレマットで雪面と断熱して座るから冷たくない。

シートの脇は直に雪面だ・・・これがイイ。
雪中幕営はシンプルな装備、尚且つヒッソリしたところでサクッとやるからこそ面白い。



地酒あさ開が旨い・・・1パックが空いたところで寝ましょう。



今夜の晩酌は日本酒を900ml・・・1/2升でした。
気分いいからってつい呑み過ぎやねん・・・汗



目が覚めた時はもう外が明るくなっていました・・・
今日は風も無く穏やかだ・・・これで大迫力の岩手山が望めたなら・・・。



風は止んでいていい状況・・・
シーン、としてます。



下りますか・・・。



さて、今日は青森・大間まで一気にドライブ。
雪道ドライブを堪能・・・というより、結構路面の雪が邪魔に感じる場所もあって、思うように車を走らせられない場面も所々にありました。

    

上北の六ヶ所村を通過し東通村へ入る。

     

ここから尻屋崎へ向かう。
荒れて白波の立つ海岸沿いの道を行く。



尻屋崎灯台への道路は冬季閉鎖だ。
やり過ごしてそのまま先に行き、アタカ地区へ向かう。



風雪に 耐える岬の 寒立馬(かんだちめ)・・・

    

寒立馬・・・粗食に耐えながら力強く立ちつくす姿が、見る者に何かを感じさせる。
越冬中は灯台の放牧地ではなく、少し離れたアタカ地区に居る。

さて一旦むつ市に出てから右回りに下北半島を北上して行く。

白波の立ち上がる海を眺めながら行く荒々しい景色の海岸沿いのルート。
いよいよムードが盛り上がってきた。

やがてプンっと硫黄の温泉の匂い。
風間浦村、下風呂温泉街。



共同浴場の「新湯」へ立ち寄る。
思ったより小さな湯船だったが、かなり熱めの湯だった。
雪道の長距離ドライブの疲れがこの熱い温泉で払われるような、すこし気合の入る至極の一湯でした。

    

さて到着しました本州最北の地、大間崎です。
風が凄いです・・・まともに立っていられません。



カモメも寒そう・・・。
人っ子一人、観光客など居やしません・・・(笑

    

大間崎テントサイトの炊事棟の冬季閉鎖は織り込み済みでした・・・が、トイレが冬季閉鎖中は想定外でした。
今夜は車中泊でも、と思っていましたがトイレが閉鎖ではそうもいきません。

さて、どうしましょうか・・・。



近くをぶらつくとすぐに目に付いた簡易宿、素泊まりの宿・・・なんともストレート(笑
¥2,800は格安。

早速訪ねてみるとスンナリOK、というか自分の他には一組しか泊まり客は居ないらしい。
そんな訳で今夜の寝場所が確保できて一安心。

   

近くの食堂は営業していないので夕食はスーパーで買い、海峡保養センターへ向かう。

日が暮れ始めてくると、途中の道路は凍り始めてきてツルツルとして危ない。
本日、温泉二連湯でのぼせ気味ではありますが、外の冷たさを思うと温泉は贅沢ですね(笑

    

素泊まりの宿・うみかぜ。

部屋数は7部屋、6畳の簡素な部屋だが綺麗でありこれで全く充分。
・・・と言うか、これって幕営旅にしては高規格過ぎちゃうよね、極楽過ぎ。(笑
ここには一応、共同の風呂もあって入浴も出来るようになっているようだ。



ふふふっ、そして今夜の夕食は豪勢にパック寿司なのだ^^
TVは北海道からの放送を受信している。
まるで北海道にいるみたいで、なにか面白いよね(笑。

     

翌朝・・・7時過ぎ。

窓から外を見ると暴風状態・・・凄い風。
車は通るが人は誰も歩いていない。
道路には雪が無い、というか、吹き荒ぶ海風に濡れて雪が積もらないのだろうと思う。



こうして年の瀬、押し詰まった日の一夜を本州最北の地の荒涼とした街で過ごした。



車窓越しに、海岸沿いの人家の様子を伺う・・・
強風で車道の泥飛沫が容赦なく玄関を汚し、正月飾りも吹き飛ばされそうにさえ思える・・・

この地の真冬は過酷だ・・・



今の時期は人が住むには過酷ささえ実感するのに、なぜ、こうして飛沫が降りかかるような荒れた海の風景は綺麗なんだろうか・・・。
そんなことを呟きつつ・・・私のような、身勝手な旅の余所(よそ)者が、ここに住んでいる方への失礼さに罪深さを感じる。

そんな荒れる海を見ながら南下して横浜町、陸奥湾の向こうには夏泊半島が望める。

     

ゆるゆると南下を進めると、その途中の七戸町に来ました。
森林公園へ立ち寄り・・・ま、当然ながら入り込める状況じゃありません、雪で。
今が夕方で寝処が欲しくなっている時分なら、そのまま張っていたかもしれません。



近隣の「あすなろ温泉」が目に付き立ち寄ります、¥350。

黄褐色のお湯はツルツルでなかなかいい、アルカリ性単純泉。
道路沿いにあって入りやすいのもいいね。



<相の沢キャンプ場>
岩手県岩手郡滝沢村鵜飼安達
料金:無料

順調に南下が進む・・・思ったほど渋滞も交通混雑も無く、スムーズに移動が出来たのでした。

さて、今夜の幕営は岩手の相の沢キャンプ場に決めた。
今年の2月にも思い出深い雪中幕営を敢行したサイトである。
相の沢キャンプ場は大雪状態の真冬こそが一番最高な幕営が出来る場所だ。

   

pm3時、相の沢Cへ到着した。

駐車場に入ると、場内への入り口になにやら建物を建設中である。
管理棟かビジターセンターでも造るのだろうか?
ここも場内には結構な深さの雪があるようで、気合を入れて歩いて入って行く。

    

歩くスキーのコース上は歩かず、あえて踏み跡の全く無い雪原をスノーシューで歩く。
深い雪の量だ・・・深いところはつぼ足だと膝上まで沈んでしまうほどです

立派なトイレ棟の裏を歩き、奥地の開放された旧トイレが見える場所まで入っていく。
駐車場からは相当に離れる。



頭上が開けているのを確認して雪を整地する。
前回は固まらない乾いた雪で苦しめられたが、今日はうまく締まってくれて楽だ。

今夜はテントを張ってみる。



付属のペグはU字形のもので、雪に適応したものでこれもピシッと決まってくれる。



この綺麗なブルー色が白い雪の上で映える。
この青色の他、黄色、赤色のテントを持っていて、合わせて「信号機トリオのテント」と呼んでいる(笑。



設営完了。
湯を沸かして熱いお茶で一息つく。



暗くなる前に温泉へ・・・

スキー帰りの人々で大混雑・・・風呂は大芋洗い状態でした(凹
とはいえ何とか湯に浸かれれば、あぁ〜温泉はいいねぇ〜〜となります。

身体を火照らせて車に入ると、たちまち窓が曇ってしまいました。



キャンプ場へ戻り、ヘッドランプを頼りに真っ暗な雪原に・・・
さっきの自分の足跡をトレースして幕体を置いた場所まで戻り着きます。



小さな幕体が、ひっそりと私を待っていてくれました・・・。

   

まぁ、人様に見せられた絵面じゃありませんナ(恥
メインは酒、他につまみ少々・・・ロクなものを食ってない。

   

一時止んでいた雪がまたチラチラと舞ってきて、なにか幻想的な情景。
酔っているせいか、風も無いせいなのか外に居ても寒さを感じないでいます。

・・・ウソです、結構冷えてきました。苦笑

雪も少し多めに降ってきましたぜ。
テントに引き篭もりのタイミングですね。



ゴロンと寝転がるとテントの裏側、念入りな目止め。
やはりテントに入ると、この狭い空間がまたイイんだなぁ。



外は時々強く吹雪きを繰り返したあと、雪が深々と降ってきているようだった。
テントに積もった粉雪がサァーっと滑り落ちる。

寝ることにする・・・。



寝ている間に、また雪が降り積もっていたようです・・・。



雪に囲まれた雪中幕営の朝は最高な気分。
新雪が降ったばかりの森の風景がとても素晴らしい。

      

時折強い風が吹き、一面が雪煙で視界が無くなる。
深い雪の時期にこうしてやる幕営って、なんとも好いね。



風が収まっている状況を見計らって、幕体を畳む。
なんだか、名残惜しい。

今日は大晦日で帰路にしなければなりませんが、このまま何日でも雪に囲まれて幕営したい気分。



幕営した雪の跡は、また今日も降る雪で隠してくれるでしょう。



やはり・・・名残惜しいんです。
雪中幕営は好い。



幸いに車には雪の積りが無かったので、楽に出すことができます。
この駐車場に除雪の雪寄せがなく助かりました。



岩手山はこの日も雲に隠れて、その山容を見ることは出来なかった。

2008年を締め括る北東北へのドライブ幕営旅・・・
この一年の様々な思いを振り返りながらの気持ちの好い、年末・雪中幕営旅でした。



END



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