笠詰野営場(岩手県)
2016年 10月

住所:岩手県花巻市大迫町内川目岳
料金:¥100/一人(シーズン中のみ有料)

笠詰野営場へ向かっています。
岩手県の早池峰山のふもと、大迫町の山奥にある野営地です。

この野営場へは2011年の同じ季節以来ですので、なんとも5年振りのお久しぶりさん・・・ということになりますね。
不思議なもので、全く同じ時期の頃合いにて思い出してしまうと、無性に向いたくなってしまったのです。

この野営場は私のように独り野営をこよなく愛好する者にとってはうってつけな雰囲気で、勿論のことお気に入りな雰囲気の営地なのです。



出立して下道を北上するが、ところどころの渋滞でなかなか移動距離を稼げないでいます。
今日は車も多く感じる。
それほど遅く出てきたわけではないけれど、宮城の県境を越えたのは昼になってからだった・・・。

岩手・一関市、北上市、花巻市へと進み、県道43で上がり大迫町へ入る。
ようやくここで車を止め、「エーデルワイン ワインシャトー大迫」へ立ち寄ります。

     

多種類のタイプのワインを製造販売する本格ワイナリーですね。
過去に何度か飲んでいますがここのワインは柔らかい舌触り、しっかりぶどうの風味があってとても美味しく、好きなワイナリーです。

ここから早池峰ダムへ至り、そこで県道25へ分岐してしばらく進む。
やがて岳地区の冬季通行止めゲートを過ぎて行くと野営場へ到着する。

細い道のカーブにある祠の隣、目立たない引き込み道に入り下るとこの野営地となるのだが、わりと気が付きにくい入口部分だ。



いつも設営するのは炊事棟のとなりにあるサイト部分、この白樺林の場所がお気に入りです。
今日も、なんともイイ野営場の表情だ・・・。



晩秋の季節感を強く思わせる情景。
来てよかった・・・。

     

場内を一通り見分し、場所の雰囲気の良さに満足し更には5年前の野営情景を思い出しながら、あれこれと独りごちている
あの時は早池峰山へも登ったのだった、もう5年も前になったのか。

さて、張ろう。

来る道すがらもそうだったが、今日は風が強いのだ。
宮城を抜ける頃には車体を揺らすほどの強風で、この先、野営地で幕体を出せるか心配したほどでした。
場内はやはり風が吹いているが、幕体を張っていられないほどの強風ではなく何とかなりそうである。

   

風が冷たいこともあって余裕のある幕体のほうを建てた。
一人で入れば、贅沢な広さと居心地の良さが得られる贅沢な幕体です。



葉が落ちて幹だけの白樺、夕日に照らされて引き立つ紅葉樹。
その木々の向こうを見上げた先には鶏頭山の尖がりが覗く。



そちらの最上段のほうもサイト部ではあるが全然使われていないのは明らかで、雑草が茂り荒れていてチョッと踏み込む気になれない。

     

炊事棟は屋根も大きくちゃんとしているが、使用状態がやや荒れ気味に感じる。
水はたぶん飲用できないだろう。



刻、一刻と照らす夕日が、こちらから眺めている周囲の木々達を色づかせる。
こじんまりした感もありつつ、なんとも良い雰囲気だ・・・

やはりこの晩秋の季節が、野営地の侘びさというものを強く感じさせる。

野営地が醸し出す素晴らしい情景。
その情景に只独り浸って満足している・・・何物にも代えがたい気分が満ちる。

     

吹きあたる風はとても冷たく、手袋をつけるのを忘れていた手や指先を凍えさせていたのでした。
テントの前ドアを開けたままで、まずはロッキーカップにいつものアルコールを注ぎ入れる。
周囲の枯れた匂いに、ニッカの甘くビターな香味が漂いマッチングする。

幕体に囲われて直接風に当たらなくなるだけで、ホッと暖かく感じる。



風が緩まるのを見計らって周囲の落ち枝を燃やすが、火付きは悪い。
野営の標(しるし)となる狼煙(のろし)だ・・・。

   

日が落ちた。
この前後には「キョーン」という甲高い鳴き声が、幾度も繰り返し周囲の山間に響いた。
このエリアでは何度も聞く。

日が暮れて深々と冷え込むように感じる・・・
火の暖かさがうれしい。
炎のある情景が気持ち的にも暖かさを感じさせるように思う。



来る途中で買い求めてきた岩手の酒、ワイン。
決して高級高価な品ではありませんけれど、こうした野営のお供とするには充分なものとおもう。

     

焚火、ワインでフランベ・・・良い具合に香りもついてステーキが柔らかく焼けた。
でも、300gの肉魂はワタシには多過ぎていっぺんには全部食べ切れないワケで、半分以上は残して翌日はレトルト・カレーに添えて豪華な朝食にて完食。

さて、このエーデル・ワインが美味い・・・ラインナップ的にも安価な食事用のワインとおもうが、いやいやどうして。
輸入ワインとの一番の違いは、仕込んだ岩手産ブドウから来る甘い香りと柔らかな飲み口・余韻の良さだと思う。
肉を焼ながらフライパンに少量を流し込んだ時も、立ち上る香りが素晴らしかった。

ふと、この飲んだ時に感じる余韻の甘い果実香には心覚えがあった・・・
それは、新幹線の中で飲んだ長野・安曇野の地酒の「大雪渓」の紙ワンカップでの余韻と似ている。
安曇野もワインの名産地ですね・・・偶然でしょうか?



ワインを2杯味わって、しばし間をあけて今度は日本酒へはしご・・・。
岩手、盛岡の地酒あさ開の「純米・昭和旭蔵」というのを、ぬる燗で遣る。
これも期待を裏切らず、美味い。
ただ、香りの立ちはいつもの宮城・浦霞のほうが濃いように思う。



ワイン、日本酒と、それぞれ楽しんで夜も更け行く・・・。
テントの中はヌクヌクと暖かく、一足先に真冬の野営スタイルにシーズンインしたかのような錯覚だ。



先の焚火はすべて綺麗に燃え切っていて白い灰になっていた。
木々の間の頭上には多くの星が光っていました。
お酒は適度に切り上げて、まだ早い時刻ですが眠気に逆らわずシュラフに入り込み、明かりを消す。

来た時に吹いていた風はすっかり収まっていて、静かながら隣りに流れる渓流の水音がBGMになっています。
いつの間にか眠りについていました・・・。



早く寝たので目が覚めるのも早いんです(笑
まだ暗いな、am4時か・・・。

外に出てみると星空はなく、息がつまりそうな曇り空となっていました。
それにいっそう寒い。
一旦テントの中を暖めたあとシュラフに入りなおすと、また少し寝入る。



充分明るくなるべき時刻のはずですが、依然として曇り空で薄暗いです。

   

周囲は風もなく静か。
良い雰囲気です。



場内をひとめぐりするように散歩。
野営の朝はこれがまた心地いい。



ゆっくり朝食を済ますと、道具を仕舞う。



そのまま発ってしまうのが惜しく、もう少し焚火を続けてゆっくりしたい。
晩秋の焚火はなんとも趣があって好いんです。



脇を流れる渓流の風景もまた、趣が深い。
この周辺は本当に風光明媚なところが多いスポットだ。



下段の広場から見上げた風景。
こうしてみると、野営場の全体は意外に広い。

さて、そろそろ昼になる前には出立せねば・・・

    

野営場から出てきたところ。

冒頭に記したように、写真右側の道路から上がってきてこの祠の脇から左下に入って行く。
緑色の野営場の看板があるが、すでに文字は消えており、たいていの通行者はまずほとんど入り込むことはないであろう。

祠に手を合わせ、野営を閉じ帰路に発った。

Photoスライドショーはこちら・・・


END





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