千古の森キャンプ場(宮城県)
2010年 9月

【加美町千古の森森林空間活用施設】
所在地:宮城県加美郡加美町字鹿原白沼一番1
料金:一区画¥800/一泊
   (Day利用は¥400)

この週末は連休となっております・・・仕事をやりくりして何とか連休を確保です。
そして連休となると、あちこち遠くへと出向きたくなるものですね・・・。

この連休には、久しぶりに青森・下北半島への幕営旅を想定していたのです。
天気はイマイチな予報なのですが、久しぶりに本州最北端の地に出向きたかった。
尻屋崎、下風呂温泉、大間崎での旅人同士の交流、仏ヶ浦、海峡ライン・・・

気分は盛り上がっていたのだが、事情で近場に変更。
ま、これはまたの機会にやることにしよう。



さて、ではどこにするか・・・。
いろいろ思い巡らした。

そこで思いついたのが、今回向かうことになった「千古の森」だ。
もう3年前に視察して以来、深く寝かしていた場所・・・所謂、私の隠し財産(笑)のようなものであったが、直近では今年の4月にも視察をしていた。
林道でのアクセスの厳しさと、役場への予約・申し込み有料キャンプ場が、3年前の時点ですぐに利用しに来なかった理由だったかもしれない。
有料キャンプ場より無料野営場、整った場所よりほったらかしに近い整備最低限の場所・・・それが自分が行きたい幕営場のお好みだ。

千古の森キャンプ場・・・もう、そろそろ行ってみようか。
本当は、もっと秋が深まった紅葉時期が良いのであろうが。

さて、ココを利用するには事前準備が要る。
役場への利用予約と申請手続きが要るのだ・・・有料なので利用料金も払わねばならない。
本来なら、有料キャンプ場は自分的には候補外では、ある・・・基本的に・・・まぁ、例外はあるが。
がしかし、このキャンプ場はそこまでしてでも行く楽しみがある。
なんと言っても、この幕営地は麓から約13kmも山奥へ入り込み、行った先で怪我でもしたら連絡手段も無く救援も来ない、ワイルド極まりない所在地なのだ。

そんなことで、役場へ連絡する。
以前に利用手順は聞いているのでスムーズなはずだが、本当に利用を申し込むと相手の手際がいささか悪い(笑
住所氏名を伝え、料金支払いなどの詳細の段取りをつける・・・。
行動計画を丁寧に説明しながら細かな相談をする・・・後日2、3度、確認の電話連絡をもらった。

本来は、現地キャンプ場へ委託管理人が来て受付と料金徴収を行うとのことであったが、結局は手前の「荒沢自然館」へ寄りそこで支払うこととなった。
トレッキングで向かうため、そこの駐車場に車を一晩置かせてもらうことも了承済みだ。
これで用意万端、整った。

さて昼過ぎ、「やくらい薬師の湯」の駐車場に到着・・・途中の渋滞で遅くなった。
既にキャンプ友の、安倍氏と三太夫氏が到着済みで、待たせてしまった。
挨拶は後・・・すぐにそこから「荒沢自然館」へ移動する・・・今日は時間が重要なのだ、のんびりしている暇は無いのです。



荒沢自然館の駐車場で、車で向かうの三太夫氏を先に行かせる・・・自分と安倍氏はここからトレッキングして向かう。
安倍氏は、こういう馬鹿げた無鉄砲な自分のプランに共感してくれる稀有な友人である。

イマイチ要領を得ない年配の職員のTさんに、役場と打ち合わせていたとおり、利用料金を支払う・・・。
ココから長沼の「千古の森キャンプ場」までトレッキングする。
ルートは、もう既に3年も前から2度ほど車で通っていることもあり、概要はわかっている・・・。
充分歩ける距離・・・だろうと思ってはいた・・・このときまでは。(汗



さて、いよいよトレッキングのスタートだ!
で、なんだ?早速ビールかよ!・・・と言うツッコミは無しね(汗
さっきの駐車場で支度しているとき、ビール缶を砂利の上に落としてしまい、穴が開いて霧を吹いているのです・・・もう、飲むしかありません(汗
ってことで、安倍氏にも一本配給し、飲みながら歩く・・・あ〜楽しいぞい!



舗装路を過ぎると、いよいよ林道に変わるのですが・・・
2.6km歩きました・・・もうすぐかな?・・・んなアホな〜♪などと気楽に冗談を飛ばしてました・・・。



え?!・・・ここから9.9kmって??
あれっ?そーだっけ???(ばき

完全に勘違いしてました、自分。
約7kmのトレックで考えてました・・・凹!
安倍氏・・・どうする?
「誤差でしょ?」・・・ってあーた、誤差で13kmが7kmになりますか〜?って、勘違いしたのは自分ですがな(凹

ともあれ、休憩を多くしてゆっくり行きましょうヨ♪・・・となったわけです。
いやー、ワクワクしますねぇ〜!

      

心地良い森林の中を歩きます。
歩くって楽しいです・・・この時は。

周りを見ると、まるで原生林です。
サルでも、カモシカでも、熊でも、何でも潜んで居そうですね・・・当然、熊鈴必携ですが。



がしかし、今一つ面白くないのは、砂利道林道が以前の視察に来たときよりも、意外に荒れていないのです。
これなら、わざわざ歩かないでも、自分の華奢な車でも来れたのでは・・・現に過去には車で走破しているのだから・・・
でもあの時はかなり辛かった、道のエグレが深く何度も底を擦った・・・。

さて歩く・・・歩く・・・行きは殆どが上り工程で、坂に次ぐ坂で・・・
約1時間30分ほど歩いたところで大休憩、ザックを下ろす。

この林道は遊歩道ではないから、こまめな看板はないから今どこを歩いているかがわからない、なに、持参の地図を見ればいいだけなんですがね。
杉木立ばかりで、風景の展開が全く無く単調ですね。
どこか所々に、眺めの良い開けた場所があるといいのですが。

その後も、ひたすら歩きます・・・
息が切れます・・・完全無風で汗も出っぱなしです・・・少しでいいから風が吹いて欲しい。



何度かの休憩をつけながら、坂を上がりきると分岐点。
キャンプ場まではまだまだ遠い・・・あと約3.6kmだ。
ふぅ〜〜、やっとココまで来たか・・・。
足が痛いです・・・普段の運動不足の体が軋んでます・・・あちこちが痛いです。



よく見ると、この林道は重機で整備しているようです。
所々、削ったり、砂利を埋めたりの痕跡がある。
でも、このあたりの所々はやはり荒れていて、華奢な自動車ではガリガリと擦りそうで、ようやくトレッキングの面目を守った気になる(笑



フウフウ言いながら進むと、ようやく舗装路。
白沼、長沼の周辺は舗装路になっているのです。
キャンプ場まではもうすぐだ。



カーブミラーで記念写真!とか言って遊ぶ(笑

      

白沼。
キャンプ場まで1.2km地点。

      

待ちわびた三太夫氏が出迎えてくれた。
歩き始めて約3時間・・・pm4:30着。
目的地、千古の森キャンプ場に到着です。

やっと到着しました。
疲れた・・・足がヘロヘロ、本当に体力がないです、情けない。

     

ザックを下ろすと、三太夫氏はすかさず冷えたビールを出してくれた、いやー気が利くねぇ!
ありがたいです・・・。
美味い〜、最高です。
栗に見えるのは栃の実です。

来る途中、歩きが辛いときの安倍氏との会話、「もしココにキンキンに冷えたジョッキの生ビールあったら、千円で買う?」。
安倍氏曰く、「う〜〜ん、¥500なら・・・」
あはは、そうねぇ・・・言われれば自分も同じ感覚かな〜。
そんな話をすると、三太夫氏曰く「なら、コレをそこの道端で売ってましょうか?笑」。
そう言われると、本当にこの缶ビールは贅沢な美味さなんだと実感してしまう。

      

トイレ棟は素晴らしく立派だ。
男女別、身障者用も完備、水洗でペーパー付で綺麗。
水は飲用不可となっているが、役場の方によれば、滅菌しており飲んでも大丈夫とのことだ。
ただし、炊事棟はカマドのみで、水道は無い。
照明は太陽光発電でバッテリー蓄電、LED照明と設備は凝っている。
隣には、これまた立派な研修棟もあり、予約するとシャワーも使える(別料金¥400)

こんな立派な施設・・・宮城県の山奥にあったなんて、皆さん御存知だったろうか?



さて、一息ついた後、設営に掛かる。



トイレ、炊事棟から下りた場所がテントサイトとなる。
やはりまだ夏草が退いておらず、少し草が多い。
一区画¥800(一泊)・・・三人分のテン場と集合用に、都合、4区画を利用申請した。

雰囲気的には、山奥の無料の野営場というレベルの感じだ。
わざわざ13kmもトレッキングして疲れ果てた挙句、特別な景勝地でもなく、その上にサイトは有料・・・損得勘定から見ればバカなやり方かもしれません。
がしかし、こういった万人はやりそうも無いアプローチそのものが非常に楽しく、そして痛快そのものです。
幕営もチョッとした演出、アイディアで、最高の楽しみ方ができるのだと思う。

条件が悪いならそれなりに、さりげなくしなやかに受け流すように対応したいと思います。
ココは不便なところで悪路ながら車でも来ることは出来ますが、だからと言ってゴリゴリと強引な手法はとりたくありません。
使える物は何でも使う・・・ではなく、使える物(手法)があってもあえて使わない、便利と判っていてもあえて不便さを楽しむ。
それは今回に限らず、自分の幕営キャンプでは常に同じ。

      

それぞれのテント風景。
安倍氏はツェルトを新調し持ってきた、なぁんだそう言ってくれれば自分もツェルトを持ってきて並べたのに。(笑
こうして見ると、区画は小さいのに、各人のテントが乗ると広々と見えるね。

     

三太夫氏が、大きなボトルでジンジャーエールを用意してくれていた。
ブラックニッカ&ジンジャーエール・・・コレはもうハイボール以上の定番の味わい。
改めて乾杯だ・・・がしかし、体がヘロヘロ状態で酔いのまわりが早いぞ(笑

     

名手、安倍氏が今話題の「マッシュさつまりこ」を作ってくれた。
美味い!
和食膳に入っているきんとんよりもイケる。



静かなバーナーは、お互いの会話を邪魔しない・・・。
やさしい炎。



今回は、タイの食品を詰めてきた。
トムヤムのスープ缶(エビが入ると、トム・ヤム・クン)と、乾燥のライスヌードル(米粉の緬)
ライスヌードルは、細い「センミー」がお好みだったが、今回持ってきた中太の「センレック」しか売って無かった、まぁいいでしょう。

     

クイティアオ・ナーム()・・・の簡易版ってとこかな?(笑
缶スープなれど、コリアンダー(パクチー)が心地良く効いていて、本場の味(タイからの輸入製品だもの)。
初めてやってみたが、本当に美味い!甘辛酸っぱくてレモングラスなど香草の風味がイイね(コレは好き嫌いが分かれる)

これは、簡単でイイ・・・特にライスヌードルは調理も簡単で味に癖が無く、どんな汁物にも、またありあわせの具材と炒めても相性がいいでしょう。
インスタントラーメンと同じで乾燥状態だと非常に軽く、キャンプ料理向きの食材だ。



もう一つ嬉しい味わいがコレ!
安倍氏持参の、NIKKAの銘酒「竹鶴12年」・・・軽量化に反してさぞ重かったろうに、瓶のまま持って来てくれるなんて。
栓を開けたとたんに、香るからすごいですよ・・・。
こんな山奥でやる至高のウィスキー・・・最高です。

      

楽しい時間が過ぎて、そろそろ寝ましょうか、となり・・・
寝酒にと、安倍氏とシェルタの中で一杯やる。
すぐに眠気と疲労でグラグラ・・・ね、寝ます(汗



翌朝
曇よりの暗い朝。
三太夫氏は仙台で用事があるとのことで、朝早くに発っていてもう居ない。



シン、とした場内です。
今にも雨が降りそうな気配。

     

前出で述べたが、炊事棟には水道は引かれておらず、水は無い。
ただし、トイレは水洗でとても綺麗で快適だ。



サイトの隣はすぐ沼・・・酔って落ちると助からないかも。



奥のほうにある研修棟・・・予約するとシャワーが使えるが、そのためだけにわざわざ管理人を常駐させるのは気が引けるもので、自分は遠慮した。



シンと静まり返っており、名残惜しい気分だ。
麓から延々とはなれ大変な山奥の一角・・・ヒッソリしてとてもイイ感じ・・・とても素晴らしい幕営地だ。

     

帰路の前に、コーヒーとマッシュさつまりこ。
これはトレッキング前のメニューとしてもイイね。



さて降りだした雨に急かされるように、名残惜しく今回の幕営地を後にしなければならない。



復路は、多少坂道もあるが大半は下り坂であるから、体が自然に前に進む。
とはいえ、やはりキツイ。
足が痛い、関節がギクシャクする、ザックが重く感ずる・・・。



約3時間でようやく、荒沢自然館へ戻る。
あぁ・・・よくやったな〜!と、二人で喜ぶ。

素直に車を使い快適な道具も持参して向かえばよいものを・・・
体力も無いくせに無謀なやり方なのだけれど、なにかやり遂げた小さな達成感がある。
スカッと痛快な思い・・・悦びだ。

私「次週もまたこのルートを歩けと言われたら?」
安倍氏「断然、断ります!ヘロヘロです!」
激しく同意!(笑
まぁ、またこの辛さを遠くに忘れた頃に、また同じようにやろう!

幕営をするとは何か、幕営の悦びとは何か・・・
こんな馬鹿げた事をやると、また問い掛けてくるような気がする。

駐車場で、お互い安堵の面持ち。
少し休んで、ここで散会。

さて車を走らせ、今日の幕営地へ向かおうか・・・。



つづく




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