山奥の野営
〜 いまだ冬の眠りの野営地にて 〜
2013年 3月


もうこの冬も終わった・・・。
この数日は暖かい風が吹いている。

この冬の期間も、自分的にはなかなか納得の行く野営に出向けていません。
それは仕事の都合だったり、生活上の用事のことだったりである。

そう考えると、このような野営の趣味を愉しむには気忙しいこともなく平凡にいられることが一番の調味料なのかもしれない。



ともあれ、この週末は野営に出向くことができるのだ。
天気模様はどうかわからないが、とりあえず幕体を2つ3つほどを積んで、今回向う先としておよその野営地を決めて出立する。

走り出して小一時間、数点の忘れ物が発覚(笑
うち一つはデジカメ。
したがって今回のレポは携帯TELのカメラでの撮影となった。

実はこの出発時点では今回幕を張った場所に落ち着くことになるとはまったく想定しておらず、目的地はまったく別な場所なのであったのだが・・・。
まずは、宮城から西へ向かって県境を越えると山形県。

珍しく早めの出立だったので、まだまだ時間が早い・・・。

車を進めながら、あと1時間ほどで当初の目的地へ到着しようかというところでふと思いついたのは、昔、真冬に野営を楽しんだ思い出の場所なのだった。
その後、野営旅の途中では何度か立ち寄ってみるが、観光スポットであり人も多くて、普段は野営をしようとは思えない場所柄だ。

がしかしその場所は、いま進んでいるルートとはまったく無関係の離れた場所なのだった。
それでも、いまは時間に余裕があることでもあり、あの懐かしいスポットの、この冬の終わりの情景を眺めるために立ち寄ることにしたのでした。



幸いなことに、まだ雪が残っている・・・。

向こうに見える印象的な雪山風景が素晴らしい。
天気も上々だ。

この調子で山奥に入り、あの場所に行けば雰囲気が盛り上がるだろう。



到着・・・さて、どうだろう?



もう雪も少なくて冬の終わりの感じですが・・・
やっぱり素晴らしいねぇ・・・!

無雪期の風景からはまったく想像し得ないほどの、なんとも素晴らしい水墨風の景色です。

しばらく散策してみる・・・。
普段は近づくことが出来ない水際まで行くことも出来、水面は凍っているようだ。

素晴らしい情景だ。

う〜〜〜む!
どうするかな・・・(汗

当初の目的の野営地は如何するのか????

ってことで、本日の野営はココに決める!
もう、此処しかない。
きっと野営の神に、ここに来いと導かれたに違いない。笑



そうと決めて、野営に入る前に身を清めるべく、これまた馴染みの立ち寄り温泉。
¥300とリーズナブル。

大変きれいなところで使い勝手も良いが、湯がぬるいのが自分のお好みには合わない・・・
風呂ってのはビシッ!っと気合の入ったキンキンに熱いのが好いんだな。

ここのは無色透明無味無臭の湯・・・三無主義のタイプなんである(笑。
それだからして、温泉湯の感触はとても滑らかでまったく癖がない。

がしかし、自分のお好みから言えば、まったく食い応えのないような・・・もっとガツンとするような温泉湯が好ましいのだ。
色がすごいとか、匂いがすごいとか、成分が尋常ではないくらいに濃すぎるとか・・・
そういえば、確かに著名な秋田・玉川温泉の、硫酸そのものといえるような温泉湯は強烈だった。

さておき、その対極の今回のこういうところは、たとえば真夏に吹き出る汗をさらっと流しに来るにはいいのかもしれない。

さて、温泉で茹で上がって車を流して周辺をぶらりとすると、そろそろ野営への頃合であろう・・・。



野営場所の周辺は高い山々に囲まれている。
今年はあの山に登ってみようか・・・などと思ったりする。

さて、先ほどの場所に舞い戻ってきた。
さっきとは変わって晴天は黒い雲に覆われ、やや天気が荒れてきそうだ。

     

車止めからテン場まではおよそ40〜50mほどだろうか。

最小限の道具を決める。
運ぶ荷物を決めて、一回で終わらせる。
雪があるから水は持たない。

あとは明日の朝まで車には戻らない覚悟をする。



幕体は何個か持ってきてみたが、結局はコレにした。

今日は寒さが緩んでいるのか雪の状況はザラメ状態、ところどころ踏み抜いてしまう・・・
硬い雪の下は湿原状態のようだ。

ペグの効きが頼りないが、なんとかレイン用フライも掛けられた。
広い前室があると、靴の置き場にも困らずにすむ。



うむ!最高だ!
素晴らしい野営の情景ではないか・・・。

流行のTVCMではないが、「今でしょう!?」などとつぶやいてしまう(馬鹿



今回持ってきたのはGINとなった。
ソーダで割って雪温で冷やしながら遣る。

     

昼間の晴天模様はどこへやら・・・
夕刻になるにつれ、すこしづつ天気は悪くなってきている。

風も強くなってきている・・・。
時折テントが大きく揺すられた。

     

そんな中、いつまでもこの情景・雰囲気に浸って居たいものだが・・・。

強い風雨模様となってきており、テントに篭るのを余儀なくされる・・・まぁ、どのみちこの時間ではそんな頃合だ。
幕体の中は別世界の居心地、いいネ。

     

テントに篭ってゆっくり飲んでいてしばらくして気がつくと、さっきまでの風雨はすっかり止んでおり静寂な状況となっていた。

水を作るのに外の雪を溶かして、ごみを除けて上澄みを使う。
インスタントの雑炊で晩酌を〆る。

     

ホントに静かな夜になった。
無風となり何の音も聞こえない・・・。
これで星でも見えたらもっと最高かも。

さて寝るか。

本来なら防寒にインフレ式のエアPADを敷くのだけれど、膨らますのが面倒になってしまった(笑
このままシュラフを広げて寝よう^^)・・・せっかく持ってきたのに。



エアPADなしで寝た結果、明け方は確かに背中が冷たかったものの、結果としては熟睡していました。
スッキリと目覚めた。

     

起掛けのテントの中はかなり冷たい・・・。
さらに外に出てみると、空気が凍ってでもいるようにさえ思える。

周囲は何もかもが凍(い)てついているようです。



雪景色に溶け込んだような野営模様・・・。
こういう情景が野営人としての理想だ。

     

快晴に映える雪山・・・
やはり、今年はあの山に向かってみよう。

     

完全に結氷!!
一面が、ぶ厚い氷でふさがれている・・・

面白いことに、ところどころにこのような丸い紋様が出来ている。
向こうまで渡ってみる。

地元の人が散歩に来たので、氷上でしばし歓談する。
この方も、この結氷で氷上を歩くのは初めてだという・・・驚いている模様だ。

さて、撤収にかかる。



ペグが抜けない(汗
凍って抜けにくい・・・とはいえちゃんと手順を踏んで、左右に軽く衝撃を与えてやればスルリと抜ける。



サクリと一式を畳み終えた。
小さな幕体は設営も撤収も簡単で気が楽、時間も掛からずにいい。



足跡だけを残して、この素晴らしい野営を閉じる。
名残惜しい・・・。



スノーシェッドに下がっているツララ。
あまりの鋭さに見入ってしまった・・・しかし、こんな鋭い槍の下には入りたくないなぁ・・・(笑

帰路、風は柔らかくなっている・・・
この地の季節も着実に移り変わり始めているのだなぁ。





END





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