北東北 お気に入りの野営場A 石倉沢キャンプ場(秋田県)
2009年 1月

秋田県仙北郡田沢湖町 
田沢湖湖畔道路 県民の森エリア
料金:無料

今回は遠出する・・・当然、真冬の北東北方面だ。
この週末の朝は急激な冷え込みで寒く空も暗いままで、普通はとても外に出歩く気にはならない状況だろう。
一気に遠くに行く為に早い時間に出立したかったが、どうしても付いて来ると言ってきかないミニととの用意も重なってしまう。
さて遠出なのだが・・・北東北なのだが・・・そうとなれば本気の豪雪・雪中幕営へと・・・が、どこへ???笑
良いのだ何処になろうとも・・・それなりに何とでもなる、まずは北東北へ出かけるのが好いのだ。



いつもの幹線国道をひたすら北上する。
天気は良くなり青空も覗く。
渋滞も無いが雪の気配もなく、こりゃ目論見が外れてこまったなぁ・・・と。
北東北の青森、秋田、岩手・・・さてさて、雰囲気の良い雪中幕営を気兼ねなく出来る無料開放されている野営場、と言えば・・・
そうさねぇ、まずは4、5箇所ほど浮かぶ・・・。

・・・それにしてもだ、外気温のこの冷えようはびっくりだね。
今日の北東北、どこに行っても最高気温が-2℃とか-4℃などと伝えている、最高気温がだ!なんと言う冷え込み!
そうですかそんなに冷えますか・・・よしよし!冬なんだから暖冬などと言わずこうして真っ当に冷え込んでもらいたい。
いいですねぇ〜思わず気合が入りますな!(笑



さて本日の幕営地を決め、60km程手前になると雪道に変わった。
思ったとおり吹雪いている。
路面は凍結ツルツルで、ブレーキを踏むとABSが動作するも車体はむなしく滑走するのみの非常に危険な路面状況。
対面の車が来ないのを良い事に、僅かにステアリングを切り込みブレーキをひと蹴りする・・・。
すると車体は僅かに四輪でドリフトし、あとはアクセルのON−OFFの加減でカーブを楽に走り抜けることが出来る。
昔乗っていたMT車を思い出して、こんなしょぼい軽自動車でもつい楽しんでしまう。
とは言えむやみにやっては危険そのもの、安全に行きましょう^^



さて、吹雪の雪道を激走してようやく現地・・・。
予想通り雪が深く場内には車が入れない・・・車道の脇には雪の壁が車の進入を阻んでいる。
大型の四駆車であれば大した問題ではないのだが、なにせ街乗り用の華奢な軽カーとあってはとてもこの状況では無理。
がしかし、この吹雪の中の雪中幕営にはこうしてさりげない様相で挑むのが至高の面白さだと思うのだ。

車は車道から中に入れて置かないと何れ除雪車の作業の邪魔で迷惑になるので、スコップを出して雪かきを始める。
車道脇の雪の壁を除雪し、約10mほど中に進入できるように道をつける・・・重労働だ。
なんの躊躇無く幕営へ着々と進む・・・こんな状況で・・・。
まぁ、自他共に認める幕営好きの自分のことである・・・古くは「ほとんどビョーキ!by山本晋也監督」というところか(笑
つまりは当然の成り行ってことです(汗

      

幕営として落ち着ける場所は更に20mほど上ったところだ。
一人なら簡易なシンプル装備にザック一つで済むのだが・・・たかが子供一人いるだけで大袈裟な装備になってしまう。

真冬にトイレが使用できるのは、昨年ココを見つけ管理者に問い合わせし幕営についても確認済みで、既に承知なことである。
こう言うマメな事前用意は安心材料として重要で、道具以上に快適な幕営準備だ。
物的には決して快適とは言えないが、それでもあだたら高原野営場のに比べればはるかにマシなトイレである。

さて、二人で荷揚する。
雪で覆われた状態ならば、車の脇でも開放的な雪原の上でもどこでもサイトに様変わりしている。
だがそれでも、ここは道路から覗けてしまう場所のため真正面のところでは落ち着けない。
やはり多少は奥まった林の中に陣取りたい。

      

荷揚が済めばあとはいつものとおりだ。
雪は堅く締まっている。
木立の間にテントを張る。
不用意に素手でポールを触ると瞬時にベタベタと手に凍り付く、気温が下がっているのだ。

   

相変わらず吹雪いている。
貸切の雪原では、ミニととが飽きずに遊ぶ・・・気温氷点下8℃、風もあって体感温度も結構寒いね。
しばらくして夕刻、暗くなり始めてきた。

   

テントに篭ると天国〜(笑
雪は降ったり止んだりを繰り返している。
いつものラジオを聞きながら、ゆっくり流れる雪中幕営の時間・・・。
前の道路は日が暮れてからは一台も車が通らない・・・静かな夜だ。



小さな炭火が好い具合となり、ミニととのリクエストのもちを焼く。
こういうコンロは極々少量の炭で使え、こうして雪中の時は大袈裟でない道具なのが好い。

   

定期的にテントの周りを点検、雪は大丈夫です。
天気も落ち着いて夜も更けました、寝ます。



明け方に目覚める・・・まだ真っ暗、5時前頃か。
テントの斜面を雪がすべり落ちる音が聞こえる。
シャラシャラと除雪車が近づき、そして通り過ぎる音が聞こえる。
静かになり耳を澄ますとテントに当る雪の音が、サラサラと聞こえる。

雪が降っているのだ。
除雪車が動いているということは結構積もっているのだろう。
好い事だ。
今は真冬、ここは北東北の豪雪地・・・そんな時と場所にあえて雪の中で過ごす幕営を楽しむために来たのだから。

温いシュラフの中でそんなことを実感しながら、うとうとしていた。
テント越しに外の明るさが感じられた頃、シュラフから抜け出る。
う、う〜〜む!?
前室の頭上の幕体が積もった雪の重みで垂れ下がっている!
OH!緊急事態!このままでは潰れる!迂闊だった(笑

      

外に出ようにも、パネルが雪の重みでなかなか開けない(汗
外に出てみると・・・唖然、呆然!
見事に雪に埋まってました。

とりあえずスコップでテント周りを除雪する。
よくもまぁこんな雪に積もられながらも、このテントは耐えてたものです。
まぁ、あと一時間気が付かずこの状態で積雪が続いたら、こんな無雪期向きのテントは間違いなく潰れてましたね。

   

雪は降る勢いを増しているようで、予断を許さない雰囲気です。
周りを歩いてみると相当な雪の量・・・。
昨日は堅い雪の上を歩けたのに、今はズブズブといとも容易く膝が雪下に潜り込む程の深さなのです。

除雪で一段落してとりあえず湯沸し、簡易な朝食をミニととに提供。
こんな大雪の状況で、テントの中では呑気に食事などしているなんて・・・あぁ楽しい(笑

さて、冗談はそのくらいにして、帰る支度に取り掛かる。
テントはポールも幕体もダメージ無し、この状況下で健気に良くがんばった!Good Job!!(笑
なにせ、さっき歩き回った自分の足跡がもう消えかかっているくらい激しい雪の降り様なのだ。
昨日とはまるでうって変わり、雪ラッセルみたいにして歩く。



ペグを抜いて見失わないように丁寧に回収する。
ポールを抜く前にテントを揺すって、念入りに雪を払う。



雪が被らないようにと木の下に置いた車、荷物一式を収納してもまだまだ安心出来ない。
このままでは道路に車が出られないのだ(大汗
最後の大仕事が待っている。

車の前はバンパーの上の高さまで積雪しているのだ。
FFのこの車はこうした雪の踏破性は極めて悪いのだ。
更には今朝の除雪車での作業で、道路縁には新しい除雪の壁が出来ている。

さて僅か約10m程だが・・・雪かき、除雪して車の排出路を作らねばならない・・・重労働なのだ。
昨日、奥の方まで車を入れなくて良かった・・・経験による勘が働いていたのだ。

雪と格闘20分!無事脱出(笑
雪中幕営は寒さやそれ用の道具の自慢なんかより、こういう事への配慮の方が重要だ。
冬キャンプが出来る有料キャンプ場は多くあり除雪も快適設備もあって楽だろうが、こうした自分の労力で成し遂げる幕営の味は無い。

      

大雪状態であります・・・。
吹雪いた場所では目の前が真っ白になり、かなり拙い。
大雪で狭くなった道幅で、更に大きな除雪車と何度もすれ違う。

やがて幕営のエリアを離れ、大きな街に下りて幹線道路に向かう頃にはすっかり雪は無くなっていた。
昨日と同じように乾燥路面となり、さっきまでの大雪の世界がウソだったとでも言いたげな状況なのだった。

北東北での雪中幕営・・・好いですねぇ、こうでなくては。
このようにサラサラに乾いた粉雪が大量に降り被るような状況下の雪中幕営は、そう何度もないだろう。
本格的に真冬になったばかりだというのに、やれ春の気配だのと言うのをラジオで聴いた。
気象異常を懸念されている昨今、こうしてキッチリと冬らしいのが良い。
まだ1月ではないか・・・春を思うのはまだまだ先のこと。
真冬の今だからこそ味わえる、しみじみした幕営の情景がある。




END



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