青森〜岩手 北東北幕営ひとり旅
行合崎キャンプ場〜稲庭キャンプ場
2008年 9月

  

今回は9月の三連休である。
天気も秋らしい好天の連休予報で、こういうときはどんな方面に出向いても心地良い幕営が楽しめることだろう。
先週の北秋田に続き、今週も気合を入れて北東北への遠出・・・一人旅をしたい。
行き先、方面は何処にしようか・・・漠然と青森へとは思っていたのだが具体的な旅程など前日までは浮かんではいない。



<行合崎キャンプ場>
住所:青森県西津軽郡深浦町大字広戸字家野上 料金:無料(夏季期間は¥1,500/張)


さて当日の早朝、まだ家人の寝ている時間にそっと車を出し今回の旅は始まったのだった。
漠然と青森方面への旅予定なのであったが、今回はいつもの下北方面ではなく津軽方面へのドライブはどうだろうか?

そんな思いにてR108で秋田への県境を越えて日本海側・・・北東北の西海岸、ウェストコーストへ向かうのだ。(笑
秋田でR7へ乗り継ぎ北上し昼時の小休憩の後、青森への県境を目指す。
青森県深浦の海岸沿いの温泉、「不老ふ死温泉」に到着したのはpm3時頃・・・家を出て実に約9時間以上のドライブだった。(笑



旅番組やCMなどですっかり有名になってしまった深浦の不老ふ死温泉の海岸の野天風呂・・・。
でも入浴料¥600なんだよな〜こんな貧乏旅には贅沢で高すぎ(凹
他にしようか・・・とも思い巡らすが、そうそう来られるわけでもないので入ってしまおう。
懐かしい野天風呂、鉄の温泉成分の匂いが潮の匂いと混じり、遮るもののない海原を眺めると一気に旅情が盛り上がるのだった。

さて、この後は予て予定の幕営地へ出向くだけである。
今夜の幕営地をこの深浦町とすることに決めたのは、実は前日の夕方のことなのだった。
深浦町には3箇所ほどキャンプ地を知っているが、昔は安価なキャンプ場が今は¥1,500/張と高額になっていたのだった。
そのためすっかりワタシの幕営地としては完全除外、頭からは離れていた。

がしかし、以前に何度か寄って見ていた時のロケーションの好いキャンプ地には大いに未練がある。
それが今回の「行合崎キャンプ場」なのであった。
折しも連休中の天気は好天が予想されており、ここは普段の拘りを棚上げしてでも幕営したいではないか。

そんな訳で役場に尋ねてみると、8月末までのハイシーズン期間のみが有料であることが判った。
その期間以外はお好きにどうぞという、こちらには誠にありがたい回答であった。
トイレと給水などの設備は有料期間が終われば閉鎖になるようだが、9月中旬頃との日程で厳格には決まっていないようだ。
トイレが閉鎖の場合、ずっと手前の駐車場にあるのを利用するように、とも教えてもらった。

さて、この行合崎で幕営するには一つ大きな難問がある。
駐車場から先へは漁港関係の車以外は進入禁止なのだ。
つまりまともに考えれば駐車場に車を置き、キャンプ道具を持ち脇の線路の上の橋を渡り約200m先の海岸へ下りるまで運ばねばならない。
サイトへは岬入り口を上ったあと今度は100段以上ある急な階段を下りてサイトへ・・・と数回は往復することになるのだが・・・
こんな状況って・・・普通は罰ゲームあるいは拷問とでも言うのではないだろうか(重油汗
オートキャンパーならずとも普通のキャンパーにさえ完全にキャンプ地の候補にすらならない場所なのであろう。
しかしワタシの場合、こういう状況は願ってもないウレシイ状況なのであって、むしろまだまだ物足りないシチュエイションである。
最高に楽しいじゃないか!歩かねば着けない幕営地・・・そんな想いであります。(笑

   

と言う訳で、駐車場に車を置きザックの荷を点検。
思ったより軽いのだけれど、何か忘れているんではないだろか?と不安になるが、まぁいいか。
歩くって言っても大仰なものではサラサラない・・・ただ単に一発でサイトに入りスマートに幕営したいだけなのだ。
関係者以外の車進入禁止の脇から入り、線路上の小さな橋を渡る。

      

左の岬への入り口を上ると立派なトイレ棟・・・お、まだ開いている。
この丘からの海岸風景がもう既に絶景そのものである。
岬は向こうの方まで伸びており草原が広がっているが、この丘の先の岬の方は草原保護の為にキャンプ禁止である。



このトイレ脇に海岸のサイトへ下りる長ーい階段がある・・・下りるは良いがこれを上る時が辛いのだ。
今日は風も無く波も静かで天気も良く、風景の見通しも利いてとても状況が好い。

      

それにしてもこの周囲の風景の見事さと言ったら・・・たとえ有料時期でも幕営に来たくなるかもしれない。
実際、この海岸そばに下りてみると、この風景の素晴らしさに圧倒される。
これはもう・・・そう、あれほどお気に入りにしていた「飛の崩れキャンプ場」以上の素晴らしさと言って良いのではないか?
あまりの素晴らしさに身震いさえしてしまうのだった。

   

炊事棟は水が出て使用出来る状態、しかもシャワー室も開いていてシャワー(コイン式)までも使える状態には驚いた。
有料期間が終了したあとも少しの間はこのように施設が利用できる状態なのだろう。
このキャンプ場を無料で利用するには、今の時期が狙い目なのかもしれない・・・もうすぐに閉められるのだろうが。

      

さて、簡易な仕組みの幕体を張ると後はこの素晴らしい風景を堪能しつつ、いつものウィスキーで長いドライブを癒そうか。
小さくコンパクトなコンロに火を入れて小さな焚き火を楽しむ。
ここは弱い風があって蚊は気にならないが、用心の為焚き火の煙りを漂わせて足元に小さな蚊取り線香を置くと、過ぎた夏の匂いがする。

      

コンロに熾き火が出来たところでサザエを乗せる・・・やがて汁が煮上がって磯の匂いが漂う。
ウィスキーでほろ酔いになると、正面の水平線に漂う雲間に夕日が降りてきていた・・・。

   

飽きずにじっと見ている・・・素晴らしい風景。
日本海に沈む夕日は、なんともやるせなくて物悲しいような、そして旅情を感じさせるものだ。

      

さざ波をBGMに、焚き火を続けながらチビリと呑んでいる。
程好く酔いが回るとイイ時間なので寝てしまう・・・明日のドライブコースは・・・と考えると直ぐに眠りに落ちてしまった。

翌朝、今日も安定した天気。
汗の吹き出る昨日と違って少しヒンヤリした感じだ。

   

場内を散歩して来ると朝日が岬にあたり始めた。
もっとしばらく此処に居たいが、今日もあちこちドライブしたいので早立ちする。



ザックに荷を詰め駐車場に戻り車に乗り込む。



今日は津軽半島をドライブすることに決めた・・・幕営地は未定。
am7時、車を出す・・・青空が気持ち良く広がり、気分良く津軽へ向かう。
鯵ヶ沢を過ぎ、十三湖の脇を通り竜飛崎へのコース。
朝早いのと日曜のことで道路は空いていてとても走り易く快適なドライブ。

途中、プンっと無料のキャンプ地の勘がして横道へ行ってみると・・・ほら当った(笑。
綺麗なトイレに炊事棟、芝生でなくて草地が残念だが許容範囲だ。

      

キャンプ地として充分、利用には上にあるダム管理事務所で申請すればよい。
さてそうこうする内に竜泊ラインへと入り、坂を上ってゆくと、パノラマが広がってくる・・・絶景だ。

      

津軽海峡と北海道の陸地が交互に見え隠れし、山岳スカイラインをゆっくり上がってゆく(車のスピードが出ないのよ汗)。
竜泊ライン途中の眺瞰台の展望台に立つ・・・360度の絶景。

穏やかな海峡の風景、手前の眼下には竜飛崎。
しかし今日は本当に好天気、風が無く快適でしかも爽やか・・・昔来た時はそれはもう大変な強風で、車のドアを開けるのも大変だった。
今回の旅はツイている・・・。



竜泊ラインを下り竜飛崎へ到着。
青函トンネルの資料館は昔、家族で見学したことがある。
今日はこれまた有名な、かいだん国道を散策したい。
かいだん・・・と言ってもお偉いさん達の会談でもヒュ〜ドロドロ〜の怪談でもなく、階段である(笑

   

国道339号の階段ルート部分で、別の自動車道路を国道指定する話があった際に「観光名所として面白い」ために階段のまま整備された。
それにしても、竜飛の海からの風が無い穏やかな竜飛崎・・・一旦荒れると大変なんだろうな、と思う。
そういえばこの近くにシーサイドパークというキャンプ場があったけど、今日は最高だろうねぇ・・・でも大抵は大風でそんな時はどうしているのかな?


さて三厩(みんまや)でR339からR280にスイッチして今別町を過ぎ進む。
このR280を行くと、海沿いに2つのキャンプ場がある。
まずは「鋳釜崎キャンプ場」である。

      

道沿いにある、カワイイ鬼の形のトイレが目印である。
目の前には三厩湾が広がり、素晴らしいロケーションである。
芝生・・とはいかないまでも、駐車場脇に広がる草地の広場がなかなか居心地は良さ気で、眺めの良い東屋もあって便利だ。
今日のように好天気で風が無い時は最高な場所だ。



此処も期間限定で有料¥500だ、期間以外はトイレや水道は閉じられるのだろう。
9月末までなので、今の時期はとてもいいかもしれない。


次に「高野崎キャンプ場」。
こちらも同様に期間限定有料キャンプ場で、¥500。
売店があり、そこから先に伸びる草地がサイトで結構広い。

      

最先端に行き降りると小さな灯台がある。
また売店の脇の階段を下りると波打ち際に降りることが出来る。
此処も悪くないが印象的には先ほどの「鋳釜崎キャンプ場」の方が好いね。

他にも見に行きたいキャンプ地があるのだけれど、寄り道ばかりしていると直ぐに時間がなくなってきてしまう。
さて青森まで下がってきた・・・もう昼過ぎだ、今日の幕営地を決めなければならない。
地図を見ながらキャンプ地を考える・・・何処が良いものか。
う〜む!行きたい所ばかりで考えがまとまらん(笑
とりあえずその辺の温泉に浸かってで小休止。



<稲庭キャンプ場>
住所:岩手県二戸市浄法寺町 地図 料金:無料


秋田、青森と来たので今夜は岩手とするかな。
もう午後になっているのであと2、3時間で行けるところ・・・。

幾つか候補は上がったが、浄法寺町にある「稲庭キャンプ場」とした。
距離的に丁度良いし、数年前に泊まった事があって懐かしい感じがしたのだった。
と針路を決めたものの、意外や遠いね。
浄法寺町に入り稲庭高原へと上り始める頃には、日は夕刻の色合いを出してきていた。
久しぶりで勘が狂って風力発電のある左回りに来てしまった、右回りで上がった方がやや近いはずだ。

      

さて到着。
道路沿いにトイレ、開いている。
道路下の広い駐車場に車を置くかと思ったが、黒いタイヤ痕があって止めた。
キャンプ場へ上る入り口に車を置き、ザックを背負う。
テントを張るためのスッキリした場所はなかなか無いのだが、今回は登山口に近い草地に決めた。

      

炊事棟も立派で、コンセントが上から降ろされていて使用もできるのは凄い。
こうしてひと気のない山奥などの無料の野営場で水道からは飲料水、トイレも水洗、時に電気も使える・・・
毎度ながら素晴らしい事と思います。

   

草地に適当な場所を見つけて幕体を広げる。
炊事棟にはありがたいことに廃材の薪が大量にあり、ファイヤーサークルで焚き火を始める。

今日も長いドライブだった・・・心地良い疲れだ。
津軽半島、竜飛崎を周るドライブは良かった・・・天気に恵まれたことも大きいが、とにかく絶景に継ぐ絶景だったように思う。

      

焚き火を眺めてはチビリといつもの酒を遣る。
そういえば今夜は十五夜とか言ってたな・・・。



快晴の夜空に一際明るい真円の月が上がってくると、サイトをうっすら明るく照らすのだった。
標高約800m、やや肌寒い気温だ・・・焚き火が嬉しい。
ただ、廃材の木っ端なので火持ちが短くすぐに弱くなってしまう。



さて、冷え込んできたし酔いも良い頃合で・・・今夜も早く寝てしまおう。
幕体に潜り込んで横たわると、何とも言えない幸福感に包まれる。
ラジオによれば明日も天気は良いらしい・・・。

   

明け方に寒さで目が覚めた。
行合崎の晩はシュラフなしで丁度良い感じだったが、ここは冷え込んだ。
さすがにシュラフに入り込んだ。

起床したのはam5時過ぎ。
朝日がもう上がってきた。
今日は帰宅日なので早目に出立せねば・・・。
散歩代わりにチョッと登山道を登ってみよう。

      

登山道は笹薮状態の場所もあり、蜘蛛の糸と水滴でそれ程心地良くは無いが良い運動にはなる。
かれこれ数十分ほど進んでみると、ほぼ8合目ほど来てしまった・・・。
時間を見ればもう6時30分頃になってしまった。
もう少しで登頂までも出来そうだったのだが断念せざるを得ない・・・帰路が遅くなってしまう。
爽やかな秋空・・・刷毛で掻いた様な特有の秋の雲が一面に広がっていた。

      

テン場へ戻り、幕体を畳む。
名残惜しいが早めに出立しよう。



さて、早めに出立すれば余裕がある。
幕営の余韻を味わいながら順調に帰路を辿っていたのだが・・・。
そのままスンナリ南下してはツマラナイではないか(笑
そう言えば・・・と寄り道、チョッと見ていこう。

      

峠ドライブ・・・山奥。
期待はしないで来ました・・・期待してなくて良かった〜(笑
廃墟寸前の野営場。
どこにテントを張れば良いのでしょうかねぇ?・・・そりゃ何とかなりますがね・・・張ってもあんまり面白くなさそう。(笑

   

これはずっと手前にある山荘。
ここ良いですよ!自由に利用が出来る・・・もっとも登山者のための施設でしょうが。
ログハウス風で綺麗、石油ストーブもあって寒い季節でも快適に泊れる。
いいねぇ、一度ここで泊って見たい・・・。
あ、でも冬にはこの道路は通行止めだった・・・歩き、トレッキングでのアクセスになるね。



次は、もう一つ別の野営場を視察。

      

おー!これはお好みな感じ!いい幕営地ですねぇ〜!
草丈が長めですが秋が深まれば気にならないだろうし、佇まいというか雰囲気が好い。
奥にはサラサラとした渓流が流れていて、視察中にも釣り人がきて車を横付けした。
これは是非、改めて幕営に赴きたいものだ・・・ここは好いね。





END



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