仏沢キャンプ場/国設くるみ台野営場(秋田県)
2007年 9月

   

今週末は9月の三連休の一回目だ。
気になる天気は上陸しなかった台風が崩れた温帯低気圧と秋雨前線の影響で、北東北方面は良い状況ではなかった。
しかし、今回は巧い事に単独ソロでの幕営に出る事が出来る貴重なチャンスである。
土曜日の野暮用を終わらせ家を出たのは午後遅くになってからだった。
9月の半ばになったというのに今日の午後は30℃を越え、非常に蒸し暑い日だ。
天気次第ではムリしてもろくなことは無いので、行く先を変えるか撤退も考えておこう。



<仏沢キャンプ場>
住所:秋田県美郷町(旧・千畑町)仏沢金沢東根字仏沢  料金:無料
利用申請必要:サン・スポーツランド千畑(キャンプ場隣の千畑温泉サン・アール内)

連休で2泊できるので遠くに行きたい。
まずは山形へ抜けて北上する。



山形・新庄市に来た辺りで雲の隙間に夕日が覗いた。
今回の幕営旅も秋田〜青森をドライブしたい・・・などと思っていたけどこうしてスタートが遅いと、とても厳しいね。

とりあえず北上を続ける・・・いつもこの辺で「どうしようか・・・?」と思うと、ふと閃くキャンプ地がある。
それが秋田・美郷町の「仏沢キャンプ場」だ。

もう日が暮れたしこのまま北上しても宿営地探しも中途半端で大変だ。
やはり美郷町付近が今夜の適当な宿営地となりそうだ。
となれば、同じ美郷町にある「美郷町町民いこいの森」も候補だ・・・うーん、どっちにするか。
六郷に入りどちらに行くか、決断せねばならない。
結局、何ともなしに仏沢キャンプ場へ向かってしまった。
テントを張ってから隣の温泉に浸かれるような気がしたし、いこいの森は山腹で風があると落ち着けない気がしたのだ。

仏沢キャンプ場へ着いたのはpm8時を回っていた。
考えていた奥の場所には一組先客が居た。
車が3台入っており、家族らしく子供連れでキャンプ中のようだ。
とりあえず、サン・アールで受付しサイトに戻るが隣の「美郷町千畑温泉保養所」は残念ながらもう締まっていた。
蒸し暑いので設営後に一汗流したかったのだが・・・。
さて、サイト奥側の炊事棟前には先客が居り賑わっているので、入って手前側の炊事棟の後ろ辺りに幕営することに決めた。



丁度都合良く、炊事棟の脇に車を収めることが出来て、前の通路も塞がずに車を停めておくことが出来る。
松林のサイトは長く広がっており、先のキャンプ組みとは距離が離れていて干渉せず都合が良いが、トイレは遠くなってしまった。



盛土で整備された場所が天場なのだが、約3×3mほどで小型のツーリングテントならスッポリ収まるがファミリー用の大型テントではムリだ。

   

サクリと設営は決まり、炊事棟にテーブルとイスを出す。
この時間となりもう後は利用者も来ないだろうし、誰にも迷惑にはならないだろう・・・炊事棟で過ごすのを許して貰いたい。
蛍光灯も点くがランタンの灯のほうが好い。
場内の水銀灯の照明が射し込んで少し明るすぎだが、誘蛾灯となってそちらに集まるのでまあ良いか。



簡単な惣菜で今夜の晩酌を始める。
今夜から雨になるかと覚悟していたが、まだ降り出さない。
ラジオで聞く予報では明日からは雨になると言う。

程よく酔いが回り灯を消してテントに潜り込む。
しばらくすると寝てしまった(笑。

   

翌朝はテントを叩く雨音で目が覚めた。
雨はパラパラと降ったり止んだりだ。



松林のキャンプサイト、森林特有の良い匂いが良い。

      

左:仏沢溜池風景 中:入り口から見たキャンプ場 右:隣接の多目的広場、車両は乗入れないようにしたい。



早めにテントを畳んでおき、しばらく付近を散歩したりバーナーでお湯を沸かして朝食。
ココの炊事棟はテーブルが無くこざっぱりして動き易い。
ゆっくり過ごして出立したのはam8時。



まずは昨晩入り損ねた保養所の温泉に浸かる。
安くて気持ちの良い温泉だ。

しばしゆったり浸かりながら、今日の行き先を思案する。
青森まで足を伸ばして見ようか、とも思うがやはり天気が悪いことを考えるとイマイチ気が進まない。
うーん・・・と風呂を上がり玄関に来て見ると、やや!大雨豪雨!
叩きつけるような雨になっていた。
駐車場まで走ってもずぶ濡れになってしまう・・・しばしロビーで新聞を読みながら待機だ。





雨が弱まった頃合で車に戻り、走り出した。
何処へ向かうか・・・このまま北上すると夏休みに青森に行ったコースと同じになってしまう。
そこで思い出したのが親子キャンプ場
ちょっと覗いて見ようかな・・・。
と向かって見たが、そう言えばかなりの山奥なんだよな・・・ちょいとの寄り道には???
ともあれ、阿仁前田から分岐し向かったのだった。
大規模な建設中の森吉山ダムはかなり形が出来てきている・・・。

      

くねくねの細い道を辿り、ようやくキャンプ場に到着。
立派なオートキャンプ場形式のキャンプサイト。
サニタリー棟は大きく、立派なシンクに清潔なトイレがある。
場内は広いので、このサニタリー棟が3棟もある。

車を入れる場所があって、あとはフリーサイトと同じ感覚で設営できる。
ただ、サイトは割と起伏があって都合良い平な場所を選ぶ必要がある。
この日、キャンパーは誰も居なかった・・・このまま貸切なら最高だ。

それにしても、この開放感と、綺麗に刈られた芝&草地は良い感じだ。
これで無料で利用できるのだから、相当な山奥ながら利用する価値は大きいと思う。
オートキャンプ場形式ながら、広いのでよくある都会型のツマラナイキャンプ場の雰囲気ではない。
ただ、一般のファミリーキャンパーにとっては物寂しくワイルドで、馴染めないかもしれない。



さて、貸切でひっそりした居心地の良い親子キャンプ場での幕営にも後ろ髪が引かれる・・・。
が、まだ時間が早いしもっとドライブしたい。
R105へ戻りそこから二ツ井町へと向かった。
この町にある、「きみまち坂公園キャンプ場」へむかう。

R7のバイパスのような橋のトンネルの脇みたいなところから分岐して、山に上るような感じだ。
少し上ると大きな駐車場があり、キャンプ場へはさらにその上部へ荒れた砂利道を行かねばならない。

      

細くて轍も深くハンドルを取られる。
隣はガード無しでそのまま崖・・・しかも傾斜もきつい。
写真ではそう見えませんが、実際これは相当に怖い山道です!!
本来はテキトーな車で来てはいけないのだろう・・・車高の高いRV車やオフロードバイクでないと厳しい。

      

相当怖い思いをしてまで上ってきてみても、サイトはなんだかぱっとしない感じ。
相当ワイルドだけど、なぜかイマイチ心惹かれる感が薄い・・・天気のせいだろうか。
帰路も同じように神経を使い慎重に車を下ろす(笑
ここの攻略は下の駐車場からザック装備でのトレッキングスタイルが良い・・・何れそれでやってみよう。



<国設くるみ台野営場>
秋田県山本郡藤里町藤琴字藤琴沢国有林
無料

さて、二ツ井町まで来たことで今夜の宿営地は決まった。
昨年にも視察したこのがある、白神の自然に囲まれた心惹かれる野営地がある。
「国設くるみ台野営場」だ。
いつかここでソロ幕営をしたかったのだ。

藤里町へ分岐する前に、簡単な惣菜を求め車にも燃料を満タンにする。
念のためタイヤの状態など、車の点検をする。
なにせ野営地へ向かう山の中で何かあったら、どうにもならないのは判っているからだ。
助けも呼べないし、本当に命にかかわる。
準備万端、いざ野営場へ向け分岐してゆく。

藤里町に入ると白神山地の看板が目についてくる。



白神山地世界遺産センター(藤里館)へ立ち寄る。
約15分で見学終了(笑
立派な施設なんだが、大きくなく流し見だとそんなもんで済んでしまうのだった(笑
さて、県道317を更に進んでいく。

     

冬季閉鎖になるゲートを通り抜け、しばらく行くと大良(だいら)峡へとでる。
このまま行けば、釣瓶落峠を通り青森県の西目屋村の目屋ダム(美山湖)へと抜けるルートだ。
が、現在は通行止めで青森への通り抜けは出来ない。



大良峡は風光明媚な渓谷だが、道路からではよく眺めることが出来ない。
紅葉時期はさぞ見事なことだろう。

      

大良峡を過ぎ、県道317から分岐し黒石林道へと入ってゆく。
ここから野営場へは砂利道の荒れた道だ。

   

渓流沿いの道。
水は濁っていない、上流部での大雨は無いようだ。
所々、僅かに壁面の崩れ跡がある。



昨年来た時より未舗装路は走り易いように思える。
路面改良されたのだろうか?
んん??野営場に来るとその先には舗装路になっていた。
これは昨年には砂利道だったはず・・・路面整備されたのだ!
なるほど野営場を過ぎこの先には岳岱自然観察休養林、その先には田苗代湿原があり、そのルートが整備されたのだ。

   

くるみ台野営場へ到着。

   

広場には炊事棟と奥には東屋。
やや草が多いが悪くない・・・場内の雰囲気は好い感じだ。
雨は何とか堪えているような感じなので、場内検分もそこそこに設営してしまう。



タープは念のために持参はしてきたが、丁度いい具合に東屋が空いていたのでこちらを使わせてもらう。
朝の撤収で濡れたテントを張ると、多少は乾き始めてきたのが嬉しい。

      

う〜む!なんと素晴らしい野営地なんだろう!
天然秋田杉、名前のもとになったクルミの木、ブナ・・・これらの森林にどっぷり囲まれた山奥深い野営地なのだ。
岩手の岩洞湖の白樺林の広場とはまた違った趣、ここもまた本格的なまさに自然溢れる野営地といえるだろう。

     

すぐ脇を綺麗な清流が流れている。
水は澄んでいて雨での濁りは無い。
落ち着いてみると、この野営地はこの渓流の川音が大きく響いていることに気が付く。
今日はやや川音が煩いのだろうか?今回使っているストーブは大きな音を出すが、かき消す位の川音だ。



ホントに好い雰囲気だ・・・今にも雨が降りそうな風情がまた独特の雰囲気。

      

炊事棟も大きく立派、トイレも水洗・清潔。
こんな人里離れた山奥深い場所にこんな立派な施設があるなんて、非常に驚く。
炊事棟の後ろには風力と太陽発電の設備が備わっている。
炊事棟に照明はないので、おそらくトイレの浄化などの電力にしているのだろう。



木々の葉が黄色に色づき始めている。
「小さい秋」・・・見つけた。



川音の大きさにも慣れた頃、夕暮れが深まり周囲は暗さをましてきた。
こんな時間になっても車が1台、奥のほうへ入っていった。
その晩は戻ってこなかったので、明朝に駒ケ岳への登山か湿原散策のために前泊しに来たのだろう。

    

周りには一切の灯りは無く、手持ちのランタンだけが灯っている。
周囲は漆黒の闇だけが広がっている。



今回のストーブは懐かしいヤツを持ってきた。
灯油で使うが安定させるのにコツが要る・・・何年も使ってきてようやく判ってきた(笑
この燃焼音をお供に夜を過ごそうと思ったが、今夜は渓流の川音が好い感じだった。

程好く過ぎた時間。
寝る前に天気の動向をラジオで確認しておく。
うーむ、大雨、荒れ模様の予報・・・しかもココは北秋田、まさにこの地方が拙いらしい。
明日はゆっくりはしていられないな・・・。
小間物を仕舞い込んで明日の撤収を楽にして、テントに入りシュラフを掛けるとすぐに寝てしまった。



翌朝はテントを叩く雨音で目を覚ました。
時折、大雨になるようだ・・・昨晩の天気予報どおりだ。

   

am6時を過ぎても薄暗い朝。



朝食用に湯を沸かす・・・こんな湿気る朝は豪快な燃焼音が頼もしい。
相変わらずダラダラと雨。
いつまでもノンビリしていられない帰路の日、意を決してテントを畳む。
東屋にテントを引き込んで畳む・・・東屋がありがたい。



テントが片付くと大概は終わり。
洗顔して身支度を整え車に戻る。



素晴らしい自然環境と雰囲気を持つ、稀有な野営地だろう。
紅葉時期には是非再訪したい・・・。



名残惜しいように野営場を後にして、来た道を戻って町へ下りる。

   

麓の藤里町へ下りた後は豪雨!
この日はこの後、秋田〜岩手の平野地域では大雨災害にまでなったのだった・・・寸での差だったのかもしれない。
さらに秋田・上小阿仁村〜五城目町を経由しR7へ抜けた。
日本海側に出ると雨はさほどでもなくなっていた。
やがて山形へ入りR112で月山の麓、田麦俣の旧道をドライブした。



ここでも一足早い紅葉の始まりが伺えた・・・小さな秋、である。





END





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